キミよ、賢く生きろ。無駄に悩む必要はない、怖いのならばその時になるまで忘れていればいい、他のことで頭をいっぱいにしてしまえばいい。
恐怖が入り込む隙間がないほど他のことでいっぱいにしてしまえばいいんだ。

どうしても思い悩んで仕方がないときは、ひとっぱしりして汗を出して風呂に入って眠るといい、気持ちの良い朝が迎えられるとは限らないが、寝苦しい夜くらいは回避できるかもしれない。
キミは昔から感情が暴走しかけた時は走っていたじゃないか、それがいつ頃からか走るのをやめた。

でも、今再びキミは走った。今日走った。
それに、昔は涙ばかり流していたキミだけれど、今は違うじゃないか。アノ頃になかった勇気も身につけたし、あの頃は知らなかった涙も流すし、あの頃はできなかった怒りも生まれている。
キミはもぅ人間なんだよ。キミという名前の人間。ロンアーでもなく、フーロンでもなく、zenit-jokerでもなく、九代目親方でもなく、定岡猫太郎でもなく、キミという名前の1人の人間になってる。

よく考えてごらんよ、キミは何年の時を生きてきた。いくつの体験をしてきて、いくつの言葉を紡いできた。
そしてまた、これからいくつの時間を過ごすんだい。いくつの記憶を作るんだい。

キミが今どこにいるかキミはよく分かっているはずだ。23の死なんてものは妄想だし、京子だって本当は存在しないってことも分かってる。
姉のようにうつ病のようになってしまったキミだけど、大丈夫まだやれる。危なくなったら逃げればいいんだ、得意じゃないか逃げるのは。
嘘をつくのも逃げるのも大得意だし、泣くのだって得意。それにキミは、笑うのも得意で、人を気遣うのも得意で、冒険をするのだって得意さ。リハーサルには弱くても、本番には強いキミじゃないか。
舞台の上にさえ立てば、君はもうその役そのものになっているじゃないか。理屈大好きだけど、体は現場主義のキミじゃないか。

ボクはキミを知っている、キミもボクを知っている。指先のボクと目先のキミ、2人は一つだ。別たれてもいない僕達だけど、だからこそ支えあえる、2人離れることはないから。

キミは先を見ることができるね、だから大丈夫なんだよ。死ぬとしても死ぬ前に死ぬことが分かる人間だ。泣く前になくことが分かる人間だ。ならきっと大丈夫

幼い頃から偉大な男達がキミに言葉をかけてくれた、熱いギター弾きもいたし、おちゃらけたオジサンもいたし、やんちゃな兄貴分もいたし、理知的な中年もいた。
キミはそういった男達から学んでいるはずなんだ。

たしかに生まれてすぐのキミは弱かった、毎日毎日泣くしかできなかった。でも、泣くってことは感情を表現できるってことだ。
沈黙しかできないのとは違う。君はあの赤子を見て、感情を表現できるのなら彼は健康だって思ったろう。キミだってそうなんだ、だからまだ大丈夫。

キミには心を語る舌がある、言葉を打つ指がある、それがあるうちはきっと生きていける。たとえどんな姿に変わってしまったとしても、きっとキミは生きていけるはずだ。

落ちることを恐れるんじゃない、立ち上がる心をなくすことを恐れなさい。失敗を恐れるんじゃない、失敗を悔いる心をなくすことを恐れなさい。
キミはもぅ泣き虫でも出来損ないでもない、立派に成長する19歳だ。

キミは周囲の誰より自分が成長していることを知っているじゃないか。自信がないとは言うけれど、少なくともキミは知っているんだ、自分が何であるかを

ならば自信だって拠り所だって成果だってあとから後からついてくるだろうさ。だからそれまで生きるんだ、君にはその力があるから。まだ走る足は残っている、だからキミは走ってもいいんだよ

キミに出来ることをやっていきなさい、そして苦しかったら助けてと言いなさい。ボクは言葉だ、キミは心だ。大丈夫、キミは大丈夫。

英雄じゃなくても、生物である限り。必ずキミはキミを成せる。

世界にキミを成しなさい、世界にキミを生しなさい。